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日本の女性写真家・笹岡啓子(1978-)の作品集『Park City』。広島生まれの笹岡は、2000年代初頭から故郷を「公園都市」としてとらえ、広島平和記念公園とその周辺を長期的に撮影してきた作家です。歴史の重さを直接語るのではなく、街路樹や芝生、川辺の歩道を行き交う人びとの姿に、戦後を生きる都市の日常と、そこに沈殿した記憶の層を静かに重ね合わせる視線が特徴です。『Park City』は、21世紀の広島の昼と夜を写した写真をまとめた写真集で、がらんとした公園や橋のたもとに、ゆっくりと流れる時間が擦り傷のように刻まれています。スローシャッターや反転像によって輪郭を失った人影は、現在を生きる身体でありながら、どこか亡霊のように画面を漂い、過去と現在が交錯する感覚を呼び起こします。観光写真とも記録写真とも異なる距離から、「写らない広島」を見つめ続けるまなざしが結晶した一冊となっています。帯欠。