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日本の写真家・長野重一の作品集『1960 長野重一写真集』。戦後日本の報道写真を代表する長野は、政治や社会の現場に身を置きながら、出来事そのものよりも、そこに集う人々の表情や空気を静かにすくい取ってきました。本書は、安保闘争や高度経済成長の始動といった大きなうねりに揺れる1960年に撮影されたもの及び同年に発表された写真をまとめた一冊であり、後年の視点で再解釈するのではなく、当時の感覚のままに立ち会い、撮られたイメージが軸となっています。ニュースの中心に迫るというより、変動の只中やその周縁に立つ視線が貫かれ、写真は社会の記録であると同時に、個人の実感の集積として立ち上がります。1960年という年を一義的に語るのではなく、写真を通じて「その場にいた時間」を問い返す構成が、戦後日本写真史の中で本書を確かな位置に置いています。