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日本の写真家・川田喜久治(1933-)を特集した、岩波書店〈日本の写真家〉シリーズ第33巻。川田は1959年に東松照明、細江英公、奈良原一高らと写真家集団「VIVO」を結成し、戦後日本写真の表現を大きく更新した写真家として知られています。なかでも代表作『地図』は、広島や長崎、占領下の記憶、焼け跡に残る傷痕などを断片的かつ象徴的なイメージとして編み上げ、日本写真史における重要作として現在も語り継がれています。本書は、同時代を生きた写真家・長野重一らの編集によって構成され、『地図』を軸に、『聖なる世界』『ラスト・コスモロジー』『Car Maniac』など川田の主要シリーズを横断的に紹介。深い黒を基調とした画面構成や、記録写真と抽象表現のあいだを行き来する独自の視覚感覚からは、戦後という時代そのものに潜む不安や記憶の揺らぎが浮かび上がります。1990年代、日本写真の再評価が国内外で進むなか刊行された本シリーズの中でも、川田喜久治という存在の特異性をあらためて確認できる一冊です。