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戦後日本写真を代表する写真家・東松照明(1930-2012)の作品集『make』。敗戦後の日本社会や米軍基地、長崎、沖縄など激動の時代を鋭く見つめ続けた東松は、現実を記録するだけではなく、写真という表現そのものの可能性を問い続けた作家でもありました。本書は、生前にヨーロッパのアートディレクターから投げかけられた「あなたの写真はTakeか、それともMakeか」という問いを契機に、自らの約60年に及ぶ仕事をあらためて見直し、構成した極めて私的なセルフ・キュレーションです。一般に「Take=現実を写す」「Make=演出して作る」と対比される写真表現ですが、東松の作品はデビュー作から晩年まで、その両者を自在に横断してきました。本書は、写真史における単純な二項対立では捉えきれない東松の創作姿勢を、自身の作品によって静かに証明する一冊といえるでしょう。初期作品から『プラスチックス』『キャラクターP』など幅広いシリーズを再編集し、写真家自身が到達した一つの答えを提示した、遺作的な意味合いも持つ重要な作品集です。