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日本の写真家・野村恵子(1979-)の作品集『Drop of Light to Rushing Water』。大阪芸術大学で写真を学んだ野村恵子は、アメリカ南部を舞台にした『Deep South』や長野県小谷村を撮影した『Otari - Pristine Peaks』、沖縄を主題とした『Okinawa』などを通して、人と土地との関係、自然の循環、記憶の継承といったテーマを一貫して探求してきました。ドキュメンタリー写真の手法を基盤としながらも、単なる記録にとどまらず、その土地に流れる時間や目に見えない気配までも写し出そうとする姿勢は、現代日本写真のなかでも独自の位置を占めています。本書は台湾各地を訪ねながら制作された作品集であり、海や川、森、人々の暮らしがひとつの流れのなかで静かに結び付けられています。タイトルに掲げられた「光」と「水」は、野村作品を貫く重要なモチーフでもあり、写真のなかでは自然現象としてだけでなく、記憶や生命の循環を象徴する存在として現れます。人物と風景を分け隔てることなく見つめるその視線は、台湾という土地を紹介するのではなく、そこに生きる人々と自然が共有する時間の層を浮かび上がらせています。土地の表面ではなく、その奥に流れる記憶や感覚へと静かに触れようとする野村恵子の代表的な世界観が凝縮された一冊です。