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日本の写真家・川島小鳥(1980-)の作品集『つきのひかり あいのきざし』。『未来ちゃん』で講談社出版文化賞写真賞を受賞し、『明星』『愛の台南』などを通して、身近な人々や旅先で出会う風景のなかに宿る小さな奇跡を写し出してきた川島小鳥は、現代日本写真を代表する写真家のひとりです。子どもや家族、友人との関係性を柔らかな光と色彩で捉えてきたその作品は、私写真やスナップ写真の系譜を受け継ぎながらも、独自の親密さと生命力によって多くの読者を魅了してきました。本書は奈良県出身の俳優・尾野真千子とともに台湾と奈良を旅しながら撮影された作品集であり、川島にとって本格的なモノクローム表現へ踏み出した重要な一冊でもあります。色彩を排した画面には、旅の途中でふと立ち止まる瞬間や、言葉にならない感情の揺らぎ、光と影の繊細な気配が静かに刻まれています。旅の記録でありながら土地を紹介する写真集ではなく、むしろ二人が共有した時間や記憶の断片を辿るような作品といえるでしょう。川島小鳥が長年向き合ってきた「人と人との距離」や「生の儚さ」というテーマが、モノクロームという新たな表現を通して深く響いてくる一冊です。